楽譜を読む

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以前勤めていた教室で、体験レッスンに来てもらった男の子のお話。

小学校高学年になろうとしていたA君はピアノがとても上手で、その年の合唱大会のピアノ伴奏者に選ばれました。しかし、耳で覚えて弾くことはできるものの、楽譜を読むことが苦手で、それまで通っていたピアノ教室では、すべての曲を先生の演奏を聴いて、耳で覚えて弾いていたそうです。

勉強が忙しくなったので今まで通っていたピアノ教室は辞めたそうですが、伴奏で渡された楽譜がなかなか読むことができず困っているという事を、体験レッスンのときにお話してくれました。

A君はとっても真面目で頑張り屋さんの印象でした。

弾いてもらった演奏もとっても上手で、指もよく回るのですが、音ミスとリズムの間違いがちらほら。

楽譜を見ると合唱の伴奏ですから、やはりきちんとリズムを合わせなくてはいけないところもあります。

なかなか、1回2回のレッスンで、リズムや読譜を完璧にということは難しいですが、それでもA君はレッスン中一生懸命取り組んでくれました。

人にはそれぞれ優位感覚があります。A君の場合、聴覚優位の「耳タイプ」でした。
耳から入ってくる音に対して敏感で、こまかく聴きとれるので、聴いた音をそのまま弾くことができたのです。

優位感覚には聴覚優位の他に、視覚優位・言語優位・体感優位があり、得意なことが違うので、同じ曲をレッスンするとしても、それぞれの優位感覚に合わせたレッスンが必要になってきます。

例えば体感優位の人は、身体を動かしながらのほうが頭に入りやすいので、リズムの練習では手で叩くだけでなく足でステップを踏みながら体全体で覚えると、より理解することができるようです。

A君の通っていたお教室の先生は、聴覚優位のA君に合わせて、耳で聴きとらせながらA君の指導をされていたのですね。

しかし、A君を見ていて、せっかくいい耳を持っていて上手にピアノが弾けるのに、楽譜を読めないのは非常にもったいない!と思いました。きっと苦手意識なく楽譜を読むことができたら、ピアノのレッスンを離れたあとも、いつか弾きたい曲ができたとき気軽に楽しむことができるのに。今はYouTubeなどがありますので音源は比較的手に入りやすいですが、複雑な曲になると耳コピするのも大変になってきます。

もし楽譜を読むことが苦手であったとしても、少しづつの訓練で読譜力は確実に伸ばしていくことができます。
何事も訓練次第です。

私は言語&視覚優位で、聴きとるのはとても苦手でした。

大学の試験で聴音がありましたが、これが初めは本当にできなくて、4つの音を同時に聴きとらなければならないのが、初めはせいぜい2音が限界・・・。

しかし、受験に向け、聴音を重点的に行った結果、和声もメロディー聴音もかなりスムーズに聴きとれるようになりました。

聴こえるようになれば、自信もついたし、その後の自分の演奏にもこまかく耳がいくようになって、良い相乗効果がありました。

それぞれのタイプに合ったレッスンを行いながらも、やはり楽譜を読むためのソルフェージュは大切にしたいと思っています。

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